ろくろと紅緒/セーマンとドーマン 『双星の陰陽師』の考察です。

ろくろと紅緒。双星の陰陽師の二人。
それぞれに呪護者の力が強く表出することで、他の陰陽師には見られない特殊な戦闘形態を見せています。

ここではそれらについて見てみます。

ちなみにろくろとその呪護者についてはこちら。紅緒とその呪護者についてはこちらで考察しています。

※本記事は2016年7月11日に作成したものです。ちなみに現在漫画は第32話時点です。…念のため。。





対極の存在。双星の陰陽師・ろくろと紅緒

胸にセーマンを浮かべた、いわば“セーマンモード”のろくろ。

2016-07-09 23.04.03
助野嘉昭「双星の陰陽師 #21 Perfect Linker」『ジャンプSQ』2015年8月号

一方、胸にドーマンを浮かべた、いわば“ドーマンモード”の紅緒。

2016-07-09 23.09.19
助野嘉昭「双星の陰陽師 #29 溝鼠の夢」『ジャンプSQ』2016年4月号

*”セーマンモード”・”ドーマンモード”というのは本ブログで便宜上勝手に入っているだけで、公式の名称ではありません。

白と黒。セーマンとドーマン。

ろくろと紅緒は完全に対極の存在として描かれています。

雰囲気も穏やかなろくろと荒御魂のように荒々しく禍々しい紅緒。

両者を間近で見た繭良は、ろくろに対しては”安心感”や”温かみ”を感じたと言いますが…

” でも “


助野嘉昭「双星の陰陽師 #29 溝鼠の夢」『ジャンプSQ』2016年4月号

” 化野さんの姿は…… “

と言葉を濁しています。

ちなみにセーマンとドーマンに関してはこちらをご参照ください。

双星の陰陽師考察 陰陽師とケガレ 晴明と道満

二人の相違点

ろくろと紅緒、二人のこれらの形態は上述の通り対をなすようなものになっています。

彼らの姿には幾つか対称的になっている要素をまとめてみました。

セーマンとドーマン

まずは、それぞれの胸に浮かんだ刻印。

2016-07-04 1.02.07
助野嘉昭「双星の陰陽師 #22 呪縛」『ジャンプSQ』2015年9月号

安倍晴明判紋五芒星の晴明桔梗、セーマン

2016-04-16-0.17.20
助野嘉昭「双星の陰陽師 #29 溝鼠の夢」『ジャンプSQ』2016年4月号

蘆屋道満の格子状の九字紋、ドーマン

ちなみに、ケガレの胸にもドーマンがありますが、別記事(→こちら)で書いています通りドーマンもあくまで陰陽師の用いる印です。なので陰陽道の術を使う以上ケガレも陰陽師なんじゃないの?と書いていたわけですが、『双星の陰陽師』では陰陽師のことを”ケガレと戦い、祓う人間”であると定義しているようで…。

しかし、紅緒の呪護者として道満が出てきたとなっては話が変わってきます。つまり、蘆屋道満を陰陽師だと言っているわけですから、ドーマンすなわち”九字の呪法”を使う存在も陰陽師であると言えるわけですね。そうすると、陰陽師もケガレも元をたどれば同じところに行き着いてしまうんじゃないのか…なんて思いますが。。




 

陰陽魚太極図

二人ともそれぞれに半分ずつの陰陽魚太極図が背中に浮かび上がっています。

2016-07-04 1.15.23
助野嘉昭「双星の陰陽師 #22 呪縛」『ジャンプSQ』2015年9月号

ろくろの背には”陽の魚”。

2016-04-16-0.17.26
助野嘉昭「双星の陰陽師 #29 溝鼠の夢」『ジャンプSQ』2016年4月号

紅緒の背には”陰の魚”。

2016-07-10 6.02.00
出典 : Wikipedia.org

本来太極図とは、上図のように陰陽揃って、”陰極まれば陽に変じ、陽極まれば隠に変ず”ということが永遠に続くことを表すものですから、ろくろの持つ”陽の魚”と紅緒の持つ”陰の魚”二つで一つということになります。

以前、悠人が陰陽師の呪力を” 陽の呪力 “ケガレの呪力を” 陰の呪力 “。そして、陰の力も陽の力も統べる者。それこそが”陰陽師”であると言っていました。

2015-11-17 15.24.11
助野嘉昭「双星の陰陽師 #10 邪悪」『ジャンプSQ』2014年9月号

とするとやはり”陽の魚”を背負うろくろが”陽の呪力”、”陰の魚”を背負う紅緒が”陰の呪力”となりますよね。さらに言うと、ろくろの呪護者は安倍晴明(→ こちら)、紅緒の呪護者は蘆屋道満(→こちら)のようですので…。やはりというか当然というか、晴明が”陽の呪力”、道満が”陰の呪力”ということになります。

二人揃って太極印が完成するということは、双星の陰陽師であるろくろと紅緒の二人をまさに体現しているようですが…。晴明と道満も二人で一対の陰陽師だったのかもしれません。

しかも、上述の通り太極図は隠から陽へ、陽から隠へと永遠に変化を続けることを表しますから、陰陽師とケガレも表裏一体の存在なのかもしれません

しかし、晴明や道満ですら陽の呪力か隠の呪力かのどちらかに特化しているとなると陰陽の呪力を合わせ持つことはよほど困難なことなのでは…。

 

五行の印

さらに、二人はちょうど上下反転した五行の印を背負っています。

五行は木火土金水の五大元素からなり、

2016-07-10 2.54.51
出典 : wikipedia.org

それぞれの元素が互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環するとされています。その関係性は多様ですが、代表的なものに相生(生み出す:陽の関係)と相克(打ち消す:陰の関係)があり、上図のように影響を及ぼしあっていると言われ陰陽道の基本となった陰陽五行説の根幹となった考えです。

ろくろも紅緒もこの五行の印を背負っているわけですが。

まず、ろくろについて…

2016-07-04 0.36.55
助野嘉昭「双星の陰陽師 #22 呪縛」『ジャンプSQ』2015年9月号

これは上図に示されたものと同じいわば一般的な配置です。

そもそも、ろくろの胸に浮かんだセーマンこと清明桔梗とはこの五大元素を五行相克の順に結んでできた五芒星です。

では一方、紅緒はというと…

2016-04-16-0.17.04
助野嘉昭「双星の陰陽師 #29 溝鼠の夢」『ジャンプSQ』2016年4月号

上下が反転しています。

これをつなぐと一般的な五芒星が反転したいわゆる“逆五芒星”が描かれます。

素人なので、逆五芒星が上下反転しているだけのものをいうのか上下左右反転しているものをいうのかは不明ですが…。この逆五芒星というのは五芒星と正反対の効果をもたらすものだそうです。

また、陰陽道とはやや外れますが、西洋でも五芒星は用いられています。

ここで面白いのは西洋では五芒星を天との繋がりとしているのに対し、逆五芒星を地、すなわち地獄との繋がりとしているらしいです。そんなわけで逆五芒星は西洋では悪魔崇拝を意味するのだとか。

陰陽師の話で悪魔も何もないでしょうから、単に正反対という意味で逆転した五行印を背負わせているだけでしょうが、暗に”魔なる存在”ということも暗示していたりして…。

『双星の陰陽師』ではケガレを一方的な悪というスタンスでは描いていないようにも思いますので、可能性は低いでしょうが…。

だいぶ話が逸れました。

ただ、そうなると気になることが…

ろくろも紅緒も胸のセーマン・ドーマン及び背中の太極図を取り囲むかのように5本の呪印(?)が描かれています。ろくろの場合はそれぞれセーマンの頂点に対応するような形になっていますが…、なんで紅緒も同じ配置なんだろう。ここは逆五芒星に対応させないんですね。単にデザインの問題かな笑

 

最後に

それにしても、これまで見てきたように各要素は対になるものの基調となるデザインはほとんど同じです。なぜここまで一致するのか、少し気になりますね。

隠も陽も極まれば自然と表裏一体の存在となるということなのか、それとも晴明と道満の関係について暗示しているのか。。

あとは紅緒の”ドーマンモード”で角が生えていることが気になります。”隠の呪力”を持つケガレは力を増すにつれて人間に近い外見になっていくはずです。実際婆娑羅以上になると角など異形な要素を持つものはいなさそうです(後ろ姿の描写しかありませんが…。)

紅緒の”ドーマンモード”。”隠の呪力”の頂点とも言える形態でなんで角があるのかな…。

聖丸や氷鉋のいう”あの男”の正体も依然不明ですし、まだまだ謎が多そうです。

とりあえず、今回はここまで。お付き合いありがとうございました。

>双星の陰陽師 レビュー一覧<