『シュトヘル 悪霊』第10巻 レビュー・感想です。

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『シュトヘル 悪霊』第10巻

” おれと死ぬなら、やはり文字は生き物なんだ。 “

シュトヘル 10 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
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” おれの見た出来事とおれの心が、おれから出て、今はおれと生きてる。 “

” 文字で記すのは——出来事と心なんだ… “

「文字」は人を平等にする

ユルールの求めるのは「文字」によって与えられる平等。

しかし、ナランの解釈は異なります。

” 「文字」は人を等しくする。文字により経験も技術も共有され——欠けて替えのない人間はいなくなる “

文字による「平等」は、必ずしも人々に良い面ばかりを与えるわけではありません。

もちろん、同じ情報を得られるとしても各個人の能力によって、習得の速さやその情報を活用する応用力などには差が出ますし、特に技術に関しては習熟度などもありますから、ナランの主張はやや極端に過ぎるところもありますが…

確かに、文字が広がれば”情報を得られない”、つまりそもそも”知らない”という絶対的な格差は消失します。

全員が全員、”欠けても替えがある”存在になるというのは言い過ぎですが、平均的な人間であれば、あるいは人間にある一定水準のみを求めるのであれば、確かにすげ替えることは可能な世界となってしまいます。

実際、今の世の中は多かれ少なかれそのような状況ですよね。

そして、奇しくも時を同じくして、火薬が実用化される。

火薬の実用化。

火薬の実用化。それのもたらすものは…

” これがもっと量産されるようになれば、”悪霊”だろうが”虎”だろうが、名もない兵が殺すようになる。”

火薬も文字同様、兵間の武力の格差をなくす。

火器が広がることによって、”どの兵も等しく容易く多く殺傷するようになる”。

そして、火器は”刀剣・弓矢よりも個の経験や技術は要さず——”、”取り扱いのみ、広く知られさえすればよい”。

“——文字によって”

上で書いた技術に対する習熟度さえも、技術自体が発展していくにつれてだんだんと不要になっていきます。

発達すればするほど、人間というノイズを排除しようとするのが技術というものですから…。

その、技術の発展に寄与するのが、また「文字」です。

そして、人間が手に入れた英知を何よりも先に適用するのは兵器です。

皮肉なものですね。文字によってもたらされる平等は、必ずしも平和をもたらすわけではないのです。
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シュトヘル、ユルール、ハラバル。それぞれの決意。

さて、ユル—ルの身柄と玉音同の残り半分との交換をナランに提案されたシュトヘルでしたが…。

“ 玉音同は渡さない ”

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“ ユルールも取り戻す。 ”

どちらも看過することを拒みます。

何故なら、玉音同を渡すということはユルールを裏切ることになるから。

大切な人と、その人の大切な物、そして同時に心のあり方をも守ろうとします。

同じ頃、一族の誇りを汚された”虎”も単身モンゴルに攻め込みます。

 

そして、ユルールはというと、逃げるでもなく、大ハンと話をしたいと申し出ます。

” 話したい。 “

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” 逃げるのでもおどすのでもなく。 “

大ハンに文字の美しい面を話したいと。

対面すれば死をも覚悟しなくてはならない相手にも、ユルールは自分の心を曲げずに向き合おうとします。

1ページ目はここまでです。2ページ目は以下より。
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