『一鬼夜行』第1巻 著:森川侑 原作:小松エメル レビュー・感想です。

” …小春か “
” お前 冬に生まれたのか? “

一鬼夜行 1巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)
一鬼夜行 1巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

” へぇ…俺には今一わからんが “
” 人ならばそうか? “

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庭先に落ちた鬼。

舞台は明治五年—

主人公は人相が滅法悪く、人付き合いの嫌いな古道具屋主人の喜蔵(きぞう)。

ある夜中、町中に何かが落ちたような大きな物音が響き渡ります。

その音の発生源は喜蔵の家の庭。

何事かと庭を見にいった喜蔵が目にしたものは、金色の髪に青く光る目をもつ子供。

” …人間に教える名などない “

” 俺は “

” 百鬼夜行に欠かせない 鬼だ “

百鬼夜行からはぐれたというその鬼は、一応百鬼の情報を収集するという名目で半強制的に喜蔵の家に居候することになり、妖怪からすら恐れられる閻魔顔の人間と、百鬼からはぐれたドジな鬼との不思議な共同生活が始まります。

百鬼夜行の情報集め。許せぬ悪人”彦次”

“協力”を要請…強制する鬼は、喜蔵に「こいつは許しちゃおけん」と思うような“すっごい悪い奴”はいるかと尋ねます。”悪人のあるところに妖怪あり”ということで、一応百鬼夜行の情報収集の一環らしいです。

その問いかけに喜蔵が鬼を連れて行ったのは”ある男”の住居。

妖怪の出現に過剰なほど怯える臆病なその男の名は“彦次”といい、実は喜蔵の幼馴染です。

しかし、過去の”とある事情”から喜蔵と彦次との間にはわだかまりが…。5年ほど前に、喜蔵が唯一心を開いていた祖父が亡くなり、その遺産をめぐって少々問題が起きてしまったのです。

ただ、その当時祖父の遺産が入った木箱を彦次に預けていることから、彦次が喜蔵にとって最も信頼出来る友人であったことは確かなのですが、今では一転して喜蔵は彦次のことを”裏切り者”だと言っているんですね。

ちなみに、喜蔵は幼い頃に両親ともに捨てられており、すでに2度“裏切られ”ていまして、彦次にも“お前もか…”と言っていました。

ただ、この彦次の”裏切り”は何を指して言っているのか…。少なくとも彦次はお金の問題だと思っているようですが、金を返そうとする彦次に“何も分かっておらぬ”と言ってるんですよね。そもそも、喜蔵は”お人好し”で金に執着する性格にも見えませんし、何かもっと“裏切り”たる重大な事情が他にありそうですね。

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“だから こはるっ 俺の名は小春というんだ”

彦次を化かした後も、喜蔵の”許せぬ人間”の場所へと連れ回される鬼。

散々連れまわされ、息も絶え絶えに疲れ果てますが、そこで喜蔵からまさかの一言…

なんと鬼が連れまわされた場所、そのどれもが縁もゆかりもないのだとっ。しかも、妖怪のいなさそうな場所ばかり選んでいて、百鬼夜行の情報は一つも手に入らないという有様。

鬼をして” 鬼か お前 “と言わしめる所業です笑

しかし、家路の途中、突如橋の欄干が崩れて川に落ちかけた鬼を、喜蔵が咄嗟に手を伸ばして助けます。

助けられた鬼は…


“人間に教える名は無い”と言っていた小春が、妖怪は人間と違い義理堅いからと、小春は名を名乗り頭を下げて礼をします。

妖怪にとっては、名を明かすというのは魂の名を教えるというのと同義なのだとか…。真名の概念ですね。あくまで小春は”義理堅い”でとおしてますが、それほどに重要なことです。少なからず心を開いたと考えて良さそうです。…逆にきっかけとしては弱い気もしますが…。

直後に“受けた恩義は必ず覚えているもんさ”と言っていますし、もしかして昔人に恩を受けたことがあるのかな?河童の弥々子の恩人と同じ人物とか??

 

喜蔵と小春。小春の過去。。

ところで、名を名乗り心を開き始めた(?)小春でしたが、変化があったのは小春だけではありませんでした。

喜蔵もまた、普段は眠りが浅い(妖怪談笑)にもかかわらず、その夜は深い眠りについたのだそうです。二人の距離がぎこちなくも徐々に近づいている様は、何だか読んでいてほっこりします。

ただ、小春自身も抱えている過去があるようで、ぐっすりと眠る喜蔵の寝顔を見ながらそっと語りかけます。

” ……なぁ “

” そんなに ぐっすり眠っていていいのか? “

なんだか、寂しいような優しいような少し陰のある表情が思わせ振りでした。

それにしても、喜蔵と小春。人を信頼できず、人に馴染めない喜蔵と、妖怪でありながら妖怪らしくなく百鬼夜行からはぐれてしまった小春。

結局この二人はどこか似た者同士なんですよね。心のどこかにさみしさを抱えているというか、どちらもひとりぼっちな感じです。

それを感じ取って、小春は喜蔵に心を開いたのかな?

合間合間で挟まれる小春の過去の記憶(?)はどういうことなのかな。化け猫(多分猫又!?)に“人間の首を取って来い”と言われている小春らしき子猫の記憶ですが…。どうも、そのあたりが天真爛漫な小春の持つ陰の部分とつながっているようなのですが…ただ小春って鬼でしょう?もともとは猫だったってことなのか??

1ページ目はここまでです。2ページ目は以下より。



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